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「食と農」の博物館(東京農業大学)

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学食・博物館特集

Date: 2024.11.29

大学ミュージアム図鑑 [第3回]
「食と農」の博物館(東京農業大学)

bilanc35大学ミュージアム図鑑「東京農業大学」
約6mもある艶やかな尾羽が立派な尾長鶏の雄雌のはく製。個体によっては、尾羽が13.5mになることもある。
その他、天然記念物の烏骨鶏や鶉うずら尾、河内奴、薩摩鶏など貴重な鶏を鑑賞できる。

※2024年11月発行BILANC vol.35に掲載
構成:八色裕次 
撮影:加々美義人 
編集:プレジデント社

鶏、酒、農具を愛でるサロン

~北海道から沖縄まで約3000点の農具

東京都世田谷区にある東京農業大学と馬事公苑を結ぶ「けやき広場」。晴れた日にはケヤキ並木からそそぐ木漏れ日の中、多くの人たちが憩いの時間を過ごすその広場に面して『東京農業大学「食と農」の博物館』があります。建築家・隈研吾氏が設計した洒脱な建物の前に高さ数メートルの鶏のオブジェがあるので、見過ごすことはありません。

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博物館の外観。時と共に色合いが美しく変化する自然素材を用いている。
 

入り口を入ると、まず目に入ってく るのはクラシックトラクター。1960年頃に生産されたこのトラクターは、同学で実際に使用していたもので、今も動かせる状態を維持しているそうです。このように、同博物館では全国から集めた農具約3000点を収蔵し、数十点を常設展示しています。

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博物館の入り口奥に展示されているクラシックトラクター。3台展示されていて写真のものはフォード製。

文化や歴史を伝える常設展示を〝3本柱〟で展開

「トラクター以外は古農具と呼ばれているもので、当館では1961(昭和36)年以前に使われていた農具を収蔵、展示しています」
こう語るのは館長を務める木村李花子氏。東京農業大学学術情報課程の教授でもあり、学芸員の育成に力を入れているそうです。
「古農具とはモータリゼーション以前に使用されていたもので、オーダーメイドのように、用途や使用者の体に合わせた道具がたくさんあります。そのため、同じものが2つとなく、大量生産品にはない味わいがあります」

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日本各地から集めた古農具を、再現された古民家内に展示。

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酒造りで使う道具を製造過程の解説とともに展示。右の写真は特徴ある各地の酒器。
天狗を模した酒器は、サイコロの出た目によって盃の大小を決める遊興用の酒器の一種。

~天然記念物をはじめとした貴重な120体ほどのはく製

「食と農」の博物館には、もう2つ柱の常設展示があります。1つが“ 鶏のはく製”。階段で2階にあがると、左手に優美で長い尾を持つ天然記念物の尾長鶏のはく製が、その奥には鶏の先祖とされるセキショクヤケイなど貴重な約120 体のはく製が並びます。
「鶏は昔から観賞用として品種改良が重ねられてきました。その歴史の一端をお伝えしています」
最後の柱が“お酒”です。醸造科学科卒業生の蔵元のお酒が壁一面に並ぶ展示も壮観ですが、醸造科学科の創立者・住江金之氏が収集した酒器や酒造りに使う古道具、酒に関連した浮世絵も、日本の酒文化を知ることができて楽しいものです。

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OB・OGの蔵元のお酒が壁一面にディスプレイされている。
日本にある1500以上の蔵元のうち、約半数が東京農業大学醸造科学科の卒業生なのだとか。

「お酒を飲みすぎて失敗した様子が描かれていたりと面白い浮世絵もありますし、各地の酒器の形状からその地の文化を知ることもできます。興味のおもむくまま、それぞれの楽しみ方で時を過ごしてもらいたいですね」
これら常設展示に加えて充実の企画展示、貴重な動植物を間近で見ることのできる「バイオリウム」など、すべてが無料で楽しめるお得な博物館です。

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進化生物学研究所が世界各地から集めた貴重な動植物や資源植物のコレクションを見ることのできる「バイオリウム」。
写真右側が中南米の植物で、左側手前がアフリカ、奥にあるのがマダガスカルの植物。
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キツネザルやリクガメなども観賞することができる。

前回までの博物館ご紹介の記事はこちら
恐竜学博物館(岡山理科大学)
大阪青山歴史文学博物館(大阪青山大学)

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