法人情報

退職資金交付事業

事業の概要

私立大学等は、わが国の高等教育の約8割を担っています。
このような私立大学等の重要な役割にかんがみ、教育基本法において、私立学校教育の振興に対する努力義務や教員の質の確保の観点から、教員に対する身分の尊重、待遇の適正等について定められています。

退職資金交付事業は、この教育基本法の趣旨に則り、公の性質を有する私立学校の教員と国公立学校の教員との待遇の均衡を図るとともに、教職員が安んじて教育研究活動に専念できる環境を確保することを目的とし、広く社会全体に貢献する事業です。

退職金の支給は、学校法人の経営において大きなウェイトを占めています。学校法人は、当財団から安定的に退職資金の交付を受けられるので、多くの私立大学等が当財団に加入し、教職員を登録しています。2023(令和5)年4月には、私立大学等を設置する学校法人の約89%が加入し、約13万人の教職員を登録しています。国は、この事業が高等教育を支える学校法人や教職員、学生など広く社会全体に貢献していることから、学校法人が納入する掛金を助成の対象とし、私立大学等に直接補助しています。

○ 事業概要のイメージ


事業概要図

加入のメリット

1 退職資金の安定供給

維持会員は一定の掛金を納入すれば、多額の退職金支出が発生しても、当財団から退職資金の交付を受けることで、資金面及び経営の安定が図れます。いつ生じるか予測できない退職金に備えて常に多額の資金を保有する必要がなくなり、効率的な資産運用が可能になります。また、その資産管理の自由度が増すため、維持会員の経営の安定に貢献しています。 退職金の急増時も安心

2 国家公務員と同等の退職金水準を保障するセーフティネット

「私立大学等の教職員の待遇について国公立大学教職員と均衡を図る」という設立趣旨に基づき、国家公務員とほぼ同等の退職金支給が可能となるように、退職資金の交付率を国家公務員退職手当法の自己都合による退職の場合の支給水準を参考に定めています。また、退職資金の計算で使用する標準俸給月額の上限も、国家公務員の俸給表を参考にしているため、国家公務員とほぼ同等の退職資金が確保されることとなります。 セーフティネット

3 掛金の利息等で掛金率を軽減

掛金の利息等の蓄積額は、周期的に退職資金の交付財源に充当されます(掛金によらない退職資金)。退職資金と掛金は、収支の均衡が図られるように設計されているため、維持会員の掛金負担が実質的に軽減されます。 掛金の利息等で掛金率を軽減

4 国庫補助により掛金負担軽減

維持会員が納入する掛金は、私立大学等経常費補助の対象となっており、国からの補助金が維持会員に対し直接交付されることで、維持会員の掛金負担の軽減が図られています。なお、2021(令和3)年度にも、掛金の約2割の交付がありました。 国庫補助により掛金負担の軽減

5 優秀な人材の確保に直結

私立大学等が優秀な人材を確保するためには、国公立大学等に劣らない労働条件が不可欠であり、その中の重要な条件の1つが退職金制度です。
当財団から退職資金が学校法人に交付されることにより、教職員が安心して教育研究活動に専念できる環境につながります。教職員の待遇の安定と向上、優れた人材の確保に貢献しています。
優秀な人材の確保に直結

6 掛金が掛け捨てではないので安心

教職員の個人単位での掛金が退職資金を上回ったとしても、掛金と退職資金の累積額は法人単位で掌握されています。掛金累積額が退職資金累積額を一定割合以上上回る場合には、掛金率の減算調整の対象となり、長期間での収支の均衡が図られることになっています。 掛け捨てではないので安心

事業のしくみ

1.退職資金の交付について

教職員が退職した際に、維持会員がそれぞれの退職金規程等に基づき支給した退職金のうち、当財団への登録が1年以上の教職員またはその遺族への支給分について、当財団の定めに基づき算出された退職資金計算額を上限として退職資金を交付します。

〈退職資金〉
退職資金交付額は、維持会員からの申請(維持会員が教職員に退職金を支給した事実)をもとに当財団が定めた交付条件により、決定します。

・退職時標準俸給月額 × 交付率 

2.標準俸給月額について

標準俸給月額は、維持会員ごとの退職金規程等による退職金算定の基礎額を、当財団が標準俸給表の区分(第1等級80,000円から第52等級590,000円までで千の位を四捨五入)によって定めた月額で、掛金や退職資金の算定に使用します。

標準俸給表 

3.掛金の納入について

維持会員は、退職資金の交付に必要な掛金を当財団に毎月納入します。
掛金額は、維持会員が教職員の登録や退職等の届出を行い、当財団では月ごとに教職員の異動を確定した後、在職中の登録教職員の標準俸給月額に維持会員ごとに算定した掛金率を乗じて算出します。

〈掛金〉
・標準俸給月額の総額 × 掛金率

4.登録料について

教職員の当財団への登録対象は、私立大学等に常時勤務する長、教員及び事務職員並びにその他の職員のうち、維持会員の退職金支給の対象となる方々です。当財団に教職員を登録する際に登録料を納入します。

〈登録料〉
・新規登録教職員数×1,000円

登録料
*財団に新規加入時は、別途加入金が必要となります。

- 当財団「事業のご案内」より抜粋 -

掛金率

当財団では将来不測の事態が発生し、退職資金交付事業に支障が生じないよう「修正賦課方式」を採用し、より確実な制度の運営を期しています。
そして、「公平の理念」に応える当財団の安全で柔軟な事業運営が、退職資金の財源を確保しながらも、掛金率を安定させることを十分に可能にしています。
財政の均衡を保つため、長期的な将来予測を行い、3年ごとに掛金率およびその計算基礎を見直し、また、掛金から発生する利息を計画的に学校法人へ還元することで、学校法人の掛金率を軽減しています(2011(平成23)年度に30年分の298億円を交付)。

当財団は、財政の均衡を保つ方式として修正賦課方式を採用し、準備資産の効率運用を行うことで掛金率の上昇を抑え、今日に至っています。
掛金率は、将来における退職資金額や標準俸給月額等、様々な条件を3年ごとに見直し、必要な改正を実施しています。
維持会員全体を1つの法人として、退職資金交付事業を確実に運営するために必要な掛金額(退職資金額)の長期推計を行い、算定した率を「掛金率」としています。ただし、この掛金率がすべての維持会員にそのまま適用されるわけではなく、教職員の登録状況等個々の維持会員の状況に応じて増減した掛金率が適用されます。
掛金率は、維持会員全体を1つの法人として、事業全体で退職資金交付に必要な率を算出したものです。財団設立当初は1000分の60でスタートし、3年ごとに見直し必要な改正を行ってきました。第12次掛金率(2022(令和4)年度から2024(令和6)年度まで)の掛金率は、1000分の114.3となっています。
この率を、登録教職員の平均在職年数や掛金と退職資金の状況等、維持会員ごとの実態に合わせ、増減し適用することで、維持会員間の公平を図っています

本則掛金率の推移

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