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学び続けるための5つのメソッド

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構成:桑原奈穂子
写真:グロービス 
編集:プレジデント社

職種の移り変わりが激しい今、学び直しは欠かせない

BILANC26「大人のための勉強法」鳥潟先生 「GLOBIS 学び放題」事業リーダー
鳥潟 幸志氏(とりがた・こうじ)
サイバーエージェントに勤務後、デジタル・PR会社のビルコム株式会社を共同創業。取締役COOとして経営全般に約10年間携わる。グロービス参画後は小売・グローバルチームに所属し、コンサルタントとして国内外での研修設計支援を行う。その後、「GLOBIS 学び放題」を立ち上げ、現在は同事業の事業リーダー。グロービス経営大学院ではベンチャーマネジメントの講師などを務める。

~ポストコロナ時代に重要なスキル

社会人の「学び直し」が注目されていますが、その背景として主に2つの要因があげられます。1つは、技術の急速な進展により、既存の職業がなくなり新しいものに置き換わっていくことです。昔は同じ職業が100年あるのも珍しくなかったのが、現在は数年後に同じ仕事が存続しているかわからないほどのスピード感で変化しています。もう1つは、人生100年時代を迎え、働く期間が長くなったこと。30代でしていた仕事と、70代でできる仕事は変わるため、学び直し続ける必要があるわけです。
そこに拍車をかけたのがコロナ禍でした。現状への危機感に加え、リモートワークで自分の時間が増えたことから学びたいという方が急増。実際、「GLOBIS 学び放題」のコロナ禍前の有効会員数は約6万人でしたが、現在は3倍以上の約20万人です。また、人とのコミュニケーションがデジタル化したポストコロナ時代には、必要となるスキルも従前とは若干違ってくるでしょう。私が特に重要と考えるのは、以下の5つです。
論理的思考力:物事を整理し、体系立てて考える力。問題の解決にはもちろん、コミュニケーションにも役立ちます。
ビジネスライティング:メールやチャットなどで情報を的確に伝える力。テキストでのコミュニケーションが格段に増した現在では特に必要となる能力でしょう。
ビジネス定量分析:コロナ禍やデジタル化の進展でこれまでの前提がガラリと変わり、過去の経験が通用しなくなってきています。そんなときに必要なのが論理を数字で裏付けする能力で、現在非常に注目されている領域です。
マインドフルネス:「GLOBIS 学び放題」でも人気が高く、私自身も実践しているのが瞑想によって自分の内面と対話し心を整えることです。リモートワークで在宅勤務が増えている今こそ、心の問題はとても重要だと思います。
新規事業の立ち上げ方:社会が劇的に変化する中、新規事業に踏み出す企業が増加しています。その際、ビジネスプランニングのやり方をしっかりと押さえておくことが成功の鍵となります。

~短期・中期・長期で学ぶ目的を整理する

次に、学び直しのスタートについて考えてみましょう。このとき大切なのは、学ぶ目的を持つことです。目的を、短期・中期・長期に分けて整理するのをおすすめしています(図表①参照)。

BILANC26「大人のための勉強法」鳥潟先生図表

短期というのは、仕事の課題。目の前の仕事の課題を解決するために学ぶということです。
中期というのは、キャリアです。1~3年後にはこうなっていたいという目標を定め、不足している経験やスキルは何かを考えます。例えば、2年後には営業から商品開発に移りたいならば、そのために必要なことを学ぶわけです。
長期は、自分の人生設計。自分がどういう人生を歩んでいきたいかを考えたうえで、そのためには何をいつまでに経験・習得しておくべきかを逆算する発想です。
こういうお話をすると、「長期の目標なんて考えられない」「中期の目標も特にない」という方がいらっしゃると思いますが、それならそれでよいのです。まずは短期、つまり仕事の課題を解決するための学びから始めてみましょう。
短期の目標を達成するために学び始め、仕事で成果を出し、周囲の評価も上がってくると、必ず見えてくる景色が変わってきます。
そうやって短期の学びを積み重ねながら、例えば「3年後、自分は何をしていたいのだろう?」と常に自問してください。そうするうちに、中期や長期の目標が次第にはっきりとした輪郭をもって現れてくることでしょう。

学習効果を高める論理的思考力を鍛えて、前向きにステップアップ

~学びは最大のエンターテインメント

学び直しのスタートを切る秘訣がわかったら、次は効果的な学び方について押さえましょう。
論理的思考力を例にとると、先人たちがつくり上げた、思考を整理するためのフレームワークがあります。例えば、「ロジックツリー」などが挙げられますが、この他にも多く種類があり、ウェブで容易に閲覧することができます。
まずはそうしたフレームワークを理解することです。しかし、それだけでは単なる知識で、スキルにはなりません。次のステップは、日々の仕事で実際にフレームワークを使う、つまり経験してみることです。このときに大切なのは100学んでから100出すのではなく、1を学んで1を出し、また1を学んで1を出すこと。スモールステップでアウトプットし続けたほうが、周囲からの反応も得られ、それがモチベーションにつながります。
そして実際に経験したら、できたこと・できなかったことを整理し、その背景にある原因や理由を探る、いわゆる省察を行います。そして、省察で得られた内容について、成功体験は他の状況でも応用できるように、失敗体験は克服できるように教訓化し、さらに実践していきます。
こうして、経験→省察→教訓化→実践を繰り返すことで論理的思考力を高めていくわけです。これはデイビッド・コルブの「経験学習モデル」と呼ばれるもので、効果的な学び方です。
最後に、学び直しをする際の最も困難な課題についてお話しします。それは、「どうしたら学び続けられるか」ということです。そして、そのメソッドは、「Why」「What」「Who」「When」「How」の5つだと私は考えています(図表②参照)。

BILANC26「大人のための勉強法」鳥潟先生図表

学ばずに変化しないリスクは、ニーズやプロセスの変化に対応できず成果が出にくくなることです。反対に学ぶことで自分の見える景色(理解できる範囲)が変わります。行動が変わり、成果が出るようになり、それまでわからなかった相手の主張がわかるなど、周りの人や社会に貢献できる。そうすると感謝されやすくなり、人材としての価値につながります。
学んでいる人は変化にポジティブであり、前向きにステップアップできる傾向にあります。変化でモチベーションが上がるのです。
学び直しは決してつらいことではありません。まさに、「学びは最大のエンターテインメント」なのです。ぜひポジティブに、楽しみながら学び続け、一緒に成長していきましょう。

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