広報活動

学生が生み出した世界初のカードゲーム

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Campus × SDGs vol.02

SDGs_金沢工業大学

構成:江頭紀子 
写真:金沢工業大学 
編集:プレジデント社

~次世代の教育に力を注ぐ大学初の「SDGs推進センター」
多彩なプロジェクトを通じて「自ら考え行動

多彩なプロジェクトを通じて「自ら考え行動する技術者」の育成を目指す金沢工業大学 。4学部12学科を擁する理工系の大学で、「学生たちがこれからの社会を豊かに生きていくためには何が必要か」という視点で学びを提供しています。
SDGsに関連する教育もその1つで、2017(平成29)年12月に「SDGs推進センター」を立ち上げました。創設の中心人物でもある、センター長の平本督太郎さんは「本センターは、若者、子どもたちと共にみんなが幸せになれる未来を創造することを目指し活動しています」と、説明します。
当時、SDGsに力を入れている大学は少なく、このようなセンター設立は日本の大学では初めてでした。大学は「第1回ジャパンSDGsアワード」を受賞していますが、このことからも先駆的に取り組んでいたことがわかります。
SDGs_金沢工業大学
SDGs推進センター
センターは企業や自治体、学校などにSDGsを普及するために、ワークショップなどを開催しています。このセンターと連携しながら活動しているのが、学生プロジェクト「SDGs Global Youth Innovators(GYIs)」です。今回紹介する「THE SDGsアクションカードゲームX(クロス)」はGYIsが企画開発しました。
きっかけは、平本さんが「SDGsのことを知ってもらいながら、アクションにつながる第一歩を踏み出せる仕組みがないか」と悩んでいたときに、学生がゲームに関心が高いことを知ったことでした。そこから平本さんの呼びかけでGYIsが結成されたのです。学生たちは世界の人々に楽しんでもらえるゲームを志し、制作に乗り出しました。4カ月ほどで試作品をつくり、学生から企業、さらには国連幹部にまで試してもらい、その意見を反映しながら改良を重ね、2018年9月にリリース。「SDGs推進センター」のウェブページから無料で「日本語版」と「英語版」をダウンロードできるようにしました。
このゲームは、SDGsの目標を達成するときに生じる新たな課題を記したトレードオフカードと、問題解決に使える技術や製品、サービスの絵が描かれたリソースカードの2種類のカードで構成されます。例えば、トレードオフカードには「移民を受け入れたら、国民の失業率が上がり始めた」などがあり、リソースカードには「ドローン」「建築」「職人」などが描かれています。
「プレイヤーはオリジナルのリソースカードをつくることもでき、クリエイティブな発想が促されます」と、平本さんはこのゲームの独創性を指摘。
ダウンロード版は公開すると同時に好評を博し、ダウンロード数は9076件に達しました(2021年10月末時点)。ユーザーの声に後押しされ、製品化にも踏み切り、月250~400個の販売に至っています。

~プレイすると問題解決能力を伸ばせるさらに幅広い世代にカードゲームを

さらに幅広い世代にカードゲームを普及させるため、センター主催で子ども向けのワークショップを行っています。体験した子どもの保護者からは「子どもが社会的な質問をするようになった」などの声が寄せられました。
また、学校関係者がゲームを授業に取り入れたところ、「普段は手を挙げない子が積極的に参加している」という感想も。これらの話を受けて平本さんは、「『人の意見を否定しない』というルールが、子どもたちの積極性や主体性を引き出すことにつながっている」と、分析します。子どもたちはカードゲームを通じ、SDGsについて学ぶだけでなく、能動的に社会と関わる能力を育んでいるのです。
「SDGsのゴールは2030年ですが、それで終わりではなく、その先を見据えることが重要です。そのためには、まず自分たちでつくったゴールを自分たちの力で実現していく。そうした行動につなげるために、まずは身近なゲームをきっかけにしてもらえたらと思っています。遊びを通して、自然と問題解決力を養っていけるのもこのゲームのよさです」
平本さんは今後の目標について、2025年に日本万博が開催され世界中の注目が集まるタイミングで、「積み上げてきたことを世界に発信できれば」と、さらなる意欲を示します。他方、各界からのニーズが高まっていることを受け、今年8月にはGYIsのコアメンバーだった学生らが、SDGs教材の開発とサービスを提供する株式会社LODUを起業しました。同大学発信のSDGsの推進活動は、着実に広がりを見せており、今後の展開にも期待がかかります。
SDGs_金沢工業大学
「THE SDGs アクションカードゲーム X(クロス)」のルール
人数
4~6人(ファシリテーター1人、プレイヤー3~5人)
遊び方
❶ ファシリテーターは各プレイヤーにリソースカードを3枚ずつ配布する。
❷ ファシリテーターは、トレードオフカードを1枚選び、そこに記された課題を読み上げる。
❸ それを聞いたプレイヤーは、手元にあるリソースカードを1枚選び、❷の問題解決策を考えます。そのアイデアをカードと共に提示する。
❹ あとからカードを出す人は、前に出されたアイデアを引き継ぎながら「それでは、さらに〇〇〇します」と自分のアイデアを提案する。
❺ 全員がアイデアをかけ合わせたら、全員で拍手をして次のトレードオフカードに移る。
ポイント
・勝ち負けを競うものではない。
・人の考えを否定しない。
・人のアイデアに掛け合わせて
・自分のアイデアを出す。
・全員で協力してトレードオフの解消に挑む。

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