無理なくはじめるスケジューリング法
構成:八色祐次
撮影:石橋素幸
編集:プレジデント社
朝活が習慣化できると、人生をコントロールしている感覚になる
株式会社朝6時 代表取締役社長 池田 千恵氏(いけだ・ちえ) 株式会社朝6時代表取締役社長。外食企業、外資系コンサルティング会社を経て、2009(平成21)年に『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!』(マガジンハウス)を刊行。 早起きによる思考整理/情報発信/時間管理/目標達成手法を著書や講演、企業研修などで紹介した実績をもとに、株式会社朝6時を創業。 |
~「30分の早起き」それも立派な朝活
「朝活って4時起きとか、5時起きでしょ。私には無理」
そんなふうに、気後れしてしまう人は少なくないでしょう。しかし、いつも起きている時間より30分だけ早く起きて、自分のための時間をとることも立派な朝活です。現在、私は朝4時に起きていますが、「4時」という時間にたどりつくまでには、5時半起きや6時半起きなど、その時々によって試行錯誤を繰り返してきました。
また今のスタイルが絶対だとは思っておらず、今後の生活状況に合わせて、起きる時間も変化させていこうと考えています。つまり、朝活のために起きる時間は人それぞれで、その人のニーズで朝活が必要か不要かを考えれば良いのです。無理をして4時に起きたことで体調を崩し、仕事がおろそかになってしまっては本末転倒ですからね。朝活する目的も人によって違いますから、一概にこれが正解というものはありません。
ですので、これから紹介するスケジュールも、あくまで一つの型だと考え、これを基準に自分流のやり方を探っていってください。
また、自分流のスタイルが見つかったらパターン化することも大切です。早起きするのは誰でもつらいもの。「余計なことを考えなくても身体が動く」ようにするわけです。
ここまでの前提を踏まえた上で、若手社員や共働き夫婦など、ケース別に朝活のポイントについて説明していきましょう。
~to doリストをつくり優先順位をつける
若手社員は、慣れない仕事に悪戦苦闘してしまい、気力も体力も消耗しがちです。そんなときは、起きるのがだるくて1分でも長く寝ていたいというのが正直な気持ちでしょう。そこで、いつもより30分だけ早起きして1日をどう過ごすか、スケジュールを組み立てるところから始めてみてはいかがでしょうか。
仕事の全体像を俯瞰してとらえることが難しい若手のときは、目の前の仕事に追われているうちに1日が終わってしまうことも。反対に、ひと通り仕事に慣れてくると、ダラダラと時間を使うようになってしまうこともあります。いずれも時間を有効に活用できていないことが問題です。そこで、出勤前の30分を使ってその日に何をするのか、タイムスケジュールとto doリストを作成し、かつ優先度をつけて色分けしましょう(図表①参照)。
私の場合は、緊急で重要度が高いものは緑、緊急ではないけれど重要度の高いものには赤、毎日ルーティンでやるべきことは青、自分でなくてもできることなど、優先度がもっとも低いものは黒を使っています。赤色は、将来のため(中長期の計画など)に仕込んでおくべき活動だと考えてください。
たとえば、半年後を見据えた企画を考える時間とかですね。私はこれを「種まき時間」と呼んでいます。こういった思考を使う作業は、脳がフレッシュな朝が適しています。
毎日やるべきことを明確にして実行したものをチェックしていくクセをつけると、一手先、二手先を見据えながら行動するようになるため、効率よく仕事をこなす力がついてきます。密度の濃い仕事ができるようになり、精度も向上するのです。すると、仕事であれほど時間に追われていたのが嘘のように、プライベートな時間を持てるようになります。睡眠時間をしっかりとれるようにもなり、生活のリズムが整ってくるので、より早起きできるようにもなるでしょう。ここまでくれば、資格取得など自分のための勉強やジョギングといった運動をする時間も持てるようになるはずです。
スタイルが見つかったらパターン化することも大切
~「松竹梅」で朝のイライラを予防
共働き夫婦の場合は、ゆとりをもって夜を過ごすための仕込み時間として朝を活用するのはどうでしょうか。夕食の下準備をしたり、前日の洗濯物をたたんだり、これだけのことで帰宅後の家事が半減できます。夜、自分の時間をもつこともできますし、パートナーと会話をすることで、翌日の英気を養うこともできます。逆に、帰宅後の家事が苦ではないなら、朝を自分の時間にあてましょう。私の場合は、シャワーを浴びて気分をさっぱりとさせ、ゆとりをもってお化粧するだけで、「今日も1 日頑張るぞ」という気力がわいてきます。
ただし、お子さんがいる場合など予定通りにいかないこともあるはずです。自分と一緒に起きてしまったり、なかなか出かける準備をしてくれなかったり。そんなときのためにも、バックアッププランとして「松竹梅」の3パターンを用意しておくことをおススメします(図表②参照)。
たとえば、予定通り起床し、理想のパターンで身支度・朝活できたときを松。掃除・洗濯くらいなど、朝活を途中まで終えたところで子供が起きてしまったときを竹。子供が一緒に起きてしまったときを梅。といった具合です。また、中断されたらイラッとするような予定をいれないのも吉。あらかじめ朝活できないパターンを入れておき、最悪のパターンを想定しておくことで朝のイライラを防ぎます。
最初にもいいましたが、スケジュールは一つの型でしかありません。そのため、時間で行動を管理するよりも、to doを目安に時間を割り当て、柔軟に管理したほうが取り組みやすいかもしれません。「5時に起きて1時間資格の勉強をする」ではなく、「毎朝、参考書を5ページ進める。そのためには1時間早起きする必要がある」というように、「すべきこと」から起床時間を考えるのです。このほうが、目的が明確になり、気持ちも前向きになりやすいはずです。まずは、達成目標を80%(1週間のうち5日できたらOKなど)くらいの気持ちで挑戦してみてはいかがでしょうか。
朝活が習慣化できると、自分で人生をコントロールしている感覚を得られます。これが自信やポジティブさを生み、日々の生活を一層生き生きとしたものにしてくれるはずです。