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今日から実践!「早起き」メソッド

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構成:野澤正毅 
撮影:石橋素幸 
編集:プレジデント社

良質な睡眠のために、なるべく決まった時間に就寝する

BILANC20「朝活」石川先生 時間管理コンサルタント
石川 和男氏(いしかわ・かずお)
建設会社総務部長・大学講師・時間管理コンサルタント・セミナー講師・税理士と5つの仕事を掛け持つ。
セミナーでは「時間管理」や「リーダーシップ力」などについて講演。近著に『G+PDCA勉強術』(明日香出版社)、『すごい朝時間術』(総合法令出版)他多数。

~資格試験合格に向け早起きして勉強

自分の時間を使い、「資格取得などの勉強をしたい」「仕事のスキルアップを図りたい」と考える社会人が増えています。ところが、学生時代と違って自分の時間を確保するのが難しいため、途中で諦めてしまう人も、少なくないのです。その主な原因は、仕事が終わった後の時間を充てていること。休日以外に、まとまった時間を得るには一見、オーソドックスな方法のようですが、激務のビジネスパーソンにとって、夜型は破綻しやすく、1年後などの長期目標を掲げてもなかなかうまくいかないのです。
例えば、夜は勉強会や職場の懇親会に顔を出すなど時間がとれない理由は多々ありますし、疲労が蓄積しています。共働きであれば、さらに家事や育児の負担も重なり、「いざ、勉強しよう」と思ったら、すでに真夜中。疲れ果てた体に鞭を打ち、机に向かうと「そのまま寝てしまった」という経験は少なくないはずです。
多忙な社会人が自分の時間を確保するシンプルな方法はなんでしょうか。それは「朝、早起きすること」。朝はギリギリ、夜はグダグダから脱却するのです。仕事が始まる前の時間なら誰にも邪魔されず、やりたいことに専念できます。それに朝は、出社時間が控えているので時間を有効活用しようと自然に集中力もアップします。
早起きのメリットは、それだけではありません。朝は、前日の疲労が回復しているので、エネルギーも全開。同じ1時間でも、朝と仕事終わりを比べると、効率がまるで違います。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針2014」でも、「人間が十分に覚醒して作業を行うことが可能なのは、起床後12~13時間が限界であり、起床後15時間以上では酒気帯び運転と同じ程度の作業能率まで低下する」とされています(図表①参照)。

BILANC20「朝活」石川先生図表

つまり、朝起きたら重要な案件を優先的に処理すべきなのです。
実は私自身も、朝のほうが資格試験の勉強がはかどることに気づき、早起きを実践するようになりました。その結果、建設会社に勤めながら、宅地建物取引士や税理士の資格試験に合格できたのです。各界の成功者の中にも早起きを習慣にしている人が多く、例えば、カレーハウスCoCo壱番屋の創業者である宗次徳二氏は、「早起きは三文の得ではなく『3億の得』」と断言しています。

強い目的意識があれば、早起きはそれほど苦にならなくなる

~適正な睡眠が早起きへの第一歩

とはいえ、「ただでさえ毎日睡眠時間が足りないのに、どうやって早起きすればいいの?」と、疑問を抱く人も多いと思います。しかし、ちょっとした工夫をするだけで、誰でも早起きできるコツがあるのです。
一つめは、ぐっすりと眠ること。自分の時間を作るために、「睡眠時間を削ろう」と考えてはいけません。まず自分にとって最適な睡眠時間を把握し、起床時間から逆算して、適正な就寝時間を割り出しましょう。例えば、7時間睡眠の人が午前6時に起きようとすれば、午後11時までに必ず就寝するのです。できる限り、仕事が終わってから就寝までに行う作業は、必要最低限とするのが得策です。
良質な睡眠のために、なるべく決まった時間に就寝するほうが寝付きも良くなるので、帰宅途中の「居眠り」を我慢し、休日も「寝だめ」をしないように注意しましょう。ただし、疲れて眠気を催しているようなら、すぐに就寝してもかまいません。代わりに、その分早く起きることのほうが良いでしょう。
同じ睡眠時間なら、眠りの質も高めるのがベスト。1日のうち、楽しかったこと、嬉しかったことを思い出してみるとスムーズに入眠することができます。寝つきが悪くなるので、就寝前の3時間、カフェインが含まれるコーヒーや紅茶は飲まないようにします。アルコールも眠りの質を低下させるので、就寝前の飲酒はおすすめできません。ブルーライトも脳の覚醒作用があるといわれており、寝る直前までPCやスマートフォンを必要以上に見ることは控えましょう。

~「5秒ルール」ですぐに起床できる

そしてもう一つのコツは、すっきりと目覚めること。それにはまず「5秒ルール」を身につけましょう。これは、米国のTV司会者であるメル・ロビンス氏が提唱した「やると決めたら余計なことは考えず、5秒以内に実行する」というもの(図表②参照)。

BILANC20「朝活」石川先生図表

朝目覚めたら、二度寝の誘惑が襲う前、つまり5秒以内に寝床から飛び出すのです。実際、寝起きが悪かった高校生の息子にこの「5秒ルール」を教えたところ、以前と比べて格段に寝起きが良くなりました。
寝床から起きたら、すぐに日光を浴びましょう。そうすれば、脳内ホルモンの働きで、脳が活性化されます。それから、目覚まし時計の音は、あらかじめ設定されているものよりも「鳥の声などの環境音楽」や「明るく、元気になれる曲」をセットするのも一つの手(ただし、悲しい思い出が蘇るような曲は避ける)。
「夢を叶える!」といった強い目的意識があれば、早起きはそれほど苦にならなくなります。夢は小さな目標から始め、それを徐々に大きくしていくのです。作業の成果によってご褒美でメリハリを付けるのも効果的。少しの取り組みでも、ご褒美をもらえるように設定し、作業興奮を呼ぶことで、行動を継続できるようになるのです。
ご紹介した早起きのノウハウを、ぜひ今夜から試してみてください。自分だけの「朝のゴールデンタイム」が手に入ることでしょう。そして、朝の時間をフル活用して、あなたの人生がより有意義になることを、心より願っております。

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