平成音楽大学は九州唯一の音楽単科大学です。所在地の熊本県御船町は、2016（平成28）年の熊本地震の震源地・益城町に隣接しています。
大学も建物の約8割が被災し、結局2棟は解体せざるを得ませんでした。休校は1カ月におよび、学内から音楽が消えました。その間、教職員は復旧作業に、学生たちは災害支援ボランティアに励みました。授業再開の日、学内には学生や教職員の笑顔があふれ、音楽が響き渡りました。
復興に向けて歩み始めた瞬間でした。本学の復興には、国内はもとより、ウィーン、ベルリンをはじめ世界各地から心温まるご支援をいただきました。音楽を通した心の絆を強く感じ、復興への勇気をいただきました。
熊本県立劇場をはじめあらゆるホールが使用できない中、「音楽のチカラで熊本を元気にしたい」と、6月7日・8日に本学のサテライトステージで教員コンサートを、29日にはホテルのホールでブラスオーケストラ演奏会を開催しました。会場は音楽と感動で満たされました。そして、2017（平成29）年12月には熊本市と長崎県佐世保市で「熊本地震復興支援感謝コンサート」を開き、作曲家・指揮者の本学学長出田敬三作曲による交響詩曲「伊東マンショ～時を超える祈り～」を日本初演しました。伊東マンショら天正遣欧少年使節が苦難を乗り越えローマを目指す姿と、熊本地震から希望に向けて歩み続ける本学や熊本の姿を重ね、感動のステージとなりました。
被災から2年が経過した今、復興の"第一楽章"として、ステージを備えたMUSICPARK（カフェレストラン）が完成しました。来年には"第二～第三楽章"として本館機能を持つ新学舎、オペラやオーケストラの練習ができるスタジオなどが完成し、教育環境がさらに充実していきます。平成音楽大学は熊本から世界に素晴らしい音楽を発信することを使命として、復興に向けて着実に歩み続けていきます。