椙山女学園:社会課題にアプローチする、森林探索ゲーム
維持会員通信Date: 2024.11.29
椙山女学園大学生活科学部の村上心研究室は、森林資源を活用して森林課題を知ってもらうための社会実験として、森林探索ゲームイベント「信州の森ずかん」を企業とともに企画開発・開催しました。
このゲームは、村上研究室が提供するバーチャル空間デザイン技術と、精密林業計測株式会社のドローンによる森林樹木のデジタル計測技術、株式会社ジェイテクトがもつ音のAR技術(サウンドスケープ)に基づいて設計されたもの。イベントの参加者には、専用のスマホ端末とイヤホン、クイズの書かれたゲームシートが配布されます。GPSで設定された一定の範囲内に入ると、イヤホンから聞こえてくるのは、まるで本物の音と聞き間違えるほどリアルな、風や葉の揺れる音、鳥の鳴き声……。音や景色を楽しみながら森を探索すると、ところどころで、さまざまな木の特徴や、信州の森に住む生き物の説明を聞き、クイズを楽しめる、という内容です。
各分野の強みを活かした産学連携のアプローチで森林に親しみをもってもらい、林業がもつ課題を認知拡大させることが、このイベントの大きな目的の一つでした。それだけではなく、企業がもつ技術の一般活用と認知拡大や、村上研究室がもつ仮想空間デザイン技術とリアルを融合させることも、イベントを通して達成することができたと考えています。
参加者の満足を得られるのか、求める演出環境が実際に構築できるかが課題でしたが、参加者からは満足の声を多くいただくことができました。当初、専門家や行政など大人の参加を想定していましたが、親子での参加が圧倒的に多く、子どもに自然体験をさせたいというニーズの高さも判明。信州エリアを中心に多くのマスコミに取り上げられ、啓蒙効果と社会における注目の高さも確認できたイベントでした。
今回、村上研究室が提供した技術は、森林課題のみならず、観光課題にも寄与し得るものです。インバウンドの観光客に向けて相手の母国語で情報を伝達し、体験の助けをするなど、今後の技術発展にも期待が寄せられています。
村上教授は取材の中で「先進技術は、人の暮らしやまちづくりに役立てることができる。研究を通して、次世代の未来をより良くすることができれば」と語りました。
本学ではこれからも、研究開発の促進や、企業がもつ技術との連携を通して、社会課題の認知課題や解決に向けて、挑戦を続けていきます。
森の探索と音声ガイドを元にしたクイズを楽しむ参加者たちの様子。
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専用のスマホとイヤホンで、拡張現実を活用。
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