広報活動

関東学院:レストアで技術進歩のプロセスを解明

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維持会員通信

Date: 2024.11.29

法人名 関東学院
大学名 関東学院大学

自動車産業の歴史を解説する展示も盛況だった。
自動車産業の歴史を解説する展示も盛況だった。

今年の夏、本学理工学部の武田克彦准教授らは学生たちとともに、歴史的自動車「ダットサン17型ロードスター」のレストア(修理・復元)を手掛けた結果、エンジン稼働を実現させました。
このダットサンは、本学と同じ横浜の地で生まれた自動車。1934(昭和9)年に設立された日産横浜工場で量産体制が整えられ、日本の工業化への足掛かりとなりました。国産車の歴史を語る上で欠かせない車です。
今回レストアされたのは、2016(平成28)年に本学が市民の方から受贈した、1937 年製のダットサン。約7年の月日をかけ、損傷の激しかったエンジン部分の作製、エンジン駆動に欠かせないコネクティングロッドに使用されている部品の製作・調達を行い、エンジン稼働と走行を実現しました。レストアを通して自動車技術の変遷を明らかにすることは、脱炭素社会の実現に向けたエンジン技術の進歩につながる可能性を秘めています。
7月と8月に行われたオープンキャンパスでは、株式会社乃村工藝社・株式会社ノムラメディアスのご協力のもと、このダットサンを一般公開。ダットサン17型を起点とした日本の自動車産業と世界経済の歴史をひも解く年表や、自動車技術の進化に資する理工学部の教育・研究に関するパネル展示も実施しました。全日とも高校生や保護者の方が途切れることなく訪れ、なかにはレトロな車両を熱心に撮影したり、レストアに関する説明に耳を傾けたりする姿も。この一般公開には、ダットサンを大学へ寄贈してくださった市民の方もご来場され、「40 年近く自宅の車庫に保管していた鉄屑のような状態の車両が、こんなに懐かしい姿になってうれしい」と、喜びを語りました。
レストアは、ただ自動車部品の歴史を探究することに留まりません。工業水準や人々の生活環境など、その時代の社会状況を知り、当時の技術者の視点に立って取り組むからこそ、生産時の姿を再生させることにつながるのです。
また、今回のレストアの過程では、新たな発見もありました。ダットサンはイギリスのオースチンが生産したオースチン・セブンとエンジン内部の各部品の寸法が類似しているため、設計に際して影響を受けたものではないかと推察されていました。しかし、エンジンの形状に関する研究を重ねると、両者の設計の意図が明らかに異なることから、ダットサンが日産自動車によるオリジナルの設計であることが判明したのです。レストアを通じたさまざまな比較によって、技術進歩のプロセスがより明確になったといえるでしょう。
今後も関東学院大学では、横浜のものづくりや未来の産業発展に貢献する技術者の育成に取り組んでまいります。

公開されたダットサン17型ロードスター
車体とともに公開された、当時の内燃機関部品。
公開されたダットサン17型ロードスター
車体とともに公開された、当時の内燃機関部品。

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