本学のデータサイエンス学部は、地域連携活動の一環として、プロ野球BCリーグチーム・埼玉武蔵ヒートベアーズとの盗塁パフォーマンス向上プロジェクト「塁感プロジェクト」を実施しています。盗塁に必要と考えられる技術を構造的に分析し、データ活用した走行分析とスプリントトレーニングを併せて実践することによって、選手の盗塁パフォーマンスの向上を目指す、スポーツデータサイエンスをフルに活用したプロジェクトです。
盗塁に特化した挑戦の結果、埼玉武蔵ヒートベアーズは、2021年シーズンにBCリーグの盗塁記録を大幅に更新するだけに留まらず、見事、球団創設初の地域リーグ優勝を手中に収めることができました。
トップアスリートのデータを計測し、科学的なトレーニング戦略を構築するプロセスからは、データを活用する人材に求められるスキルが学習、修得できると考えられます。課題解決のためのデータ活用方法や、データを基に他者と協働して意思決定していくための技能を学ぶ体験学習コンテンツへの応用も可能なプロジェクトとして、推進してまいりました。
実際にプロジェクトに参加した学生からは、「一介の学生である私がどのようにコミュニケーションを取り、どのように接すれば選手たちに心を開いてもらえるか、良い関係を構築できるよう努力しました。選手たちと打ち解け、質問や不安を気軽に話せるようになった時の喜び、怪我が選手生命に影響する可能性のある中でのトレーニングのプレッシャー、リーグ優勝、ドラフト会議で2名が指名された時の喜びなど、学生生活では味わえない、非常に貴重な経験をしました」(データサイエンス学部4年 津田優太朗)との声が寄せられています。
スポーツにおけるデータ活用において最も重要なことは、データの採取・分析・評価だけで終わらずに、選手やコーチと一緒になって課題解決まで試行錯誤を継続することです。データを共有しながらコミュニケーションすることによって、選手の意思決定を良質なものへと促進することに繋がり、個々に合わせたトレーニングプログラムを提供することができるからです。
選手の可能性を信じ、潜在的な技能を引き上げるために、選手に歩み寄りながらデータを活用できる人材が必要とされていることを感じます。今後もこうしたプロジェクトや地域との連携を通し、データサイエンスをさまざまな場面で活用できる人材の輩出を目指していきます。
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データを根拠としたトレーニングを行う。
回旋動作など、体の動きを数値化できるマシーン。
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