広報活動

南山大学 SWEETS MAGIC Lab.

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Date: 2023.03.24

インターンから食育まで。役割広がる「新時代の学食」

BILANC30南山大学「SWEETS MAGIC Lab.」
「いつも混んでいるので、今日初めて来ました。スイーツがたくさんあって、おいしそうですね」と、利用中の学生さん。

構成:江頭紀子 
撮影:山口典利 
編集:プレジデント社

~持続可能な学食のビジネスモデルに挑戦

中部地区を含む西日本唯一のカトリック総合大学である南山大学。「人間の尊厳のために」という教育モットーを掲げ、「多様性を受け入れる心を育みながら、国際性を身につける教育」を実践しています。住宅地にある瀟洒なキャンパスには、ときおり近隣の住民も訪れます。お目当ては、2022()令和4年7月にオープンした学食「SWEETS MAGIC Lab.(スイーツ・マジック・ラボ、以下Lab.)」。運営するのは、ケーキや高級プリンで知られる株式会社スイーツマジック です。街なかのカフェさながらの洗練された内装で、唐揚げなど学食の定番メニューに交じって、約20種類のスイーツが自慢です。
取材時に利用していた学生さんも「大学にこんなにおしゃれな学食があるなんて、びっくりです! 」と話すなど、評判は上々のLab.。しかし南山大学にとってはチャレンジだったと、大学本部長の福田尚登さんはいいます。
「大学は長期休暇があるため、学食は儲かりにくく事業者から敬遠されがちです。しかも本学の学生は8 割が実家住まいで、朝や夕方の売上はそれほど見込めない。事業者が定着するビジネスモデルを探していましたが、コロナ禍が追い打ちをかけ、6つあった食堂は3つに減ってしまったのです」

BILANC30南山大学「SWEETS MAGIC Lab.」 南山大学
大学本部長
福田 尚登さん

Lab. のオープンで、
「職業体験」のあり方が
本質的に変わった!

頭を抱えていたときに、在学中の学生起業家から紹介されたのが、スイーツマジックを運営する水谷義之さんでした。水谷さんは学食のデメリットを確認したうえで、「スイーツを扱う」「ガラス張りのライブキッチンにする」「インターンシップを行う」といった付加価値によって集客増を見込みました。さらに学食をスイーツ工場として機能させ、ECサイトで販売することで収益をカバーできるとも判断しました。
「水谷社長の話を聞き、躯体改修に費用はかかるものの、『これしかない!』と執行部を説得しました。『価格帯が高めでは』との声もありましたが、『地元の厳選された食材を使用し、何よりおいしい。問題ない』と押し切りました」(福田さん)
工場として稼働するため、今まで休みだった土曜日も営業したところ、近隣住民の利用が増えたというわけです。

BILANC30南山大学「SWEETS MAGIC Lab.」 株式会社スイーツマジック
代表取締役
水谷 義之さん

つくったスイーツを
E C サイトで販売。
工夫次第で学食は黒字に!

~ライブキッチンやインターンで実業を伝授

水谷さんによると、ライブキッチンにしたのは、食材の仕込みの様子など働いている姿が見えることで、業務への理解が深まると考えたからだそうです。
インターンシップについても、告知するとすぐに学生が手を挙げ、新メニュー開発プロジェクトがスタート。水谷さんは事業計画の立て方や宣伝手法などをレクチャーし、学生はスイーツマジックの社員から助言を受けながら、データ分析やニーズ調査を実施。端材を使った「食物繊維たっぷりブロッコリーの茎ポタ」など4 種類のスープを開発し、2022年12月に販売したところ大好評でした。「余った牛挽肉を活用した『牛ぎゅーっと温まるピリ辛坦々』など、学生たちが考えたネーミングは、私たちでは思いもつかない新鮮なものでした。社員たちにも刺激になっています」(水谷さん)
2023年1月には学内の読書サークルが、「本の世界を味わえる」として白雪姫のリンゴをモチーフにした「毒りんごあめ」などを開発しました。
「インターンというと、『内々定を取りに行くもの』といったイメージが定着していますが、本来の目的は実習・研修的な就業体験をし、経験を得て、就職のミスマッチを防ぐものです。実業を経験できて、最後まで責任をもたせてくれるスイーツマジックさんは貴重な存在です。こうしたチャンスが本学の学生にあるのは、学食ができたこと以上のメリット。新たなインターンの形として、他にも展開したいですね。そして、数々の経験が学生の評価につながる仕組みも考えていきたいと思います」(福田さん)

BILANC30南山大学「SWEETS MAGIC Lab.」
南山大学の学生によるインターンシップ風景。

Lab. では一般向けの食育イベントも開催。2022年12月には、親子30人がクリスマスケーキづくりに挑戦しました。水谷さんはこう振り返ります。
「大学との協働は、調整に時間がかかりがちですが、福田さんから、『まずやってみて実績を積み、そこから興味ある人たちに向けてコンテンツを広げていくのはどうか』と提案いただきました。食育イベントもその1つだったんです」
水谷さんは、学食でありながらフレキシブルにチャレンジできる場として機能するLab.で、今後もさまざまな活動を行っていくとのこと。地域の人たち、協働する事業者など、さまざまな人たちが交わる取り組みは、まさに「多様性を受け入れる心」を育む活動といえます。学生たちは、胃袋だけでなく、知的好奇心も満たされていくことでしょう。

※ 私立大学退職金財団では、教職員の皆様にスポットをあてた「未来を拓く学校人」の情報を募集しています。掲載をご希望の維持会員は、当財団までご連絡ください。

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