玉川学園:貴重書を世界初のデジタル化
維持会員通信Date: 2021.03.31
玉川大学教育博物館では、教育史資料、芸術資料、民俗資料、考古資料など約4万点の資料を収蔵しています。中でも、子供たちの知的好奇心を刺激し、感性や美的感覚、情緒を育むために役立つ資料を数多く集めてきました。その一つが、19世紀のイギリス人博物学者ジョン・グールド(1804~81年)の手による鳥類図譜です。学術調査に裏付けられた鳥類の生態を、当時発明されたばかりの石版画(リトグラフ)の技法を用い、手彩色で生き生きと描いたもので、歴史上最高の図譜と賛美されています。
当時のヨーロッパでは、世界各地から送られてくる物珍しい動植物が人々の関心を集め、標本の展示会が開かれていました。同時に、実物大の絵に解説を付した図譜が多数制作されています。中でも、絵の美しさと学術的な内容から世界的に貴重な資料として高く評価されているのが、ジョン・グールドの鳥類図譜なのです。
本学教育博物館では、この鳥類図譜41巻を所蔵。2001年には、そこに描かれている2946枚の図版を、世界で初めてデジタル化しました。現在、解説とともに、博物館のホームページ「鳥人ジョン・グールドの世界」で公開しています。
2013年4月からは、教育博物館ホールに特別展示コーナーを設け、図譜のうち2冊を月替わりで公開中。さらに19年には玉川学園創立90周年記念特別展「ジョン・グールドの鳥類図譜―19世紀 描かれた世界の鳥とその時代―」を開催しました。この特別展では、本学が所蔵する図譜のすべてを6年ぶりに公開するとともに、山階鳥類研究所にも所蔵資料を出品いただき、国内で初めて、グールドの鳥類図譜44巻を一堂に展示することができました。
展示は、「鳥類図譜の成り立ちと技術」「グールドの鳥類学」「19世紀の鳥類図譜」などをテーマとし、グールドの鳥類図譜を中心に、同時代に制作された他の鳥類図譜や、グールドのスケッチ、図譜の制作過程や石版画の制作方法がわかる資料などで構成。また、鳥類の進化の様子をグールドの図版で示した鳥類の系統樹マンダラも作成しました。
特別展は上皇上皇后両陛下もご鑑賞され、鳥たちが色鮮やかに再現された図譜やグールドのスケッチ、図譜の制作過程を説明した展示を熱心にご覧になっていました。
現在、教育博物館ホームページより、ぬり絵用の墨刷石版画7種類がダウンロードできます。皆様もぜひ、世界で1枚の作品を仕上げてみてください。
玉川学園創立90周年記念特別展「ジョン・グールドの鳥類図譜ー19世紀 描かれた世界の鳥とその時代」での展示風景
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左(または上から)からジャワショウビン、ワライカワセミ、ワシミミズクの図版 | |
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左(または上から)からコチョウゲンボウ、ニジキジ、バラムネキヌバネドリの図版 | |
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左(または上から)からベニカザリフウチョウ、シロムネオオハシ、オウギハチドリの図版 | |
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左(または上から)からギンケイ、オオウミガラスの図版 |