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桜美林学園 ワークスタイル改革プロジェクト

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Date: 2020.09.11

コロナ禍でも効果を発揮!文書量「5割減」の働き方改革

桜美林学園ワークスタイル改革
町田キャンパスの会議室。ここで複数キャンパス間のTV会議を頻繁に行っている。

構成:秋山真由美 
撮影:桜美林学園 
編集:プレジデント社

~組織発展による課題をICT化で解決したい

働き方に大きな変化をもたらした新型コロナ禍。テレワークやオンライン授業など、急な対応を余儀なくされ、戸惑いや課題を感じたという声も多く聞かれました。そんな中、慌てることなくスムーズに対応できたのが、以前から働き方改革を推進してきた桜美林学園です。
東京都町田市に本部を置く桜美林学園は、2021(令和2)年に創立100周年を迎えます。複数キャンパスで学校運営をするうえで課題となったのが、各キャンパスで共通する業務があることや、稟議書や各種申請書など紙文書のやり取りによる効率低下でした。そこで2017(平成29)年4月、これらの課題を解決することを目指して、「ワークスタイル改革プロジェクト」が発足しました。
「組織が大きくなると同時に、長時間労働の問題やセクショナリズムが顕在化し、各部門間の連携や助け合いの精神が希薄になっていきました。現時点では学生募集は成功していますが、この先、マーケットは縮小していきます。これまでの働き方を根本的に見直し、業務の効率化、生産性向上を図っていかなければならないと考えました」 改革の背景について話してくれたのは、総務部長の太田幸宏さんです。初期メンバーは太田さんを含めた3人。その後、各部門の管理職を中心に20人が結集し、課題を洗い出しながら、解決の手段をブレイクダウンしていきました。目標は大きく5つ。「生産性の向上」「長時間労働の改善」「組織内コミュニケーションの強化」「柔軟な働き方の推進」「学生サービスの向上」です。これらを達成するため、ワークスタイル改革1.0(2017~18年度)、2.0(2019~20年度)、3.0(2021~22年度)と、2年ごとに3つのステージに分けて目標を掲げ、取り組みを進めていきました。

BILANC22桜美林学園ワークスタイル改革 桜美林学園
総務部長
太田 幸宏さん

働きやすい環境とは
どういうものか、
自ら考え、実践していく

~ペーパーレス化で業務の流れがスムーズに

「まず着手したのが、ペーパーレス化です。どの文書をどんな保存形式で何年間保存するかなど、28項目の文書別管理規準を策定し、各部門には文書管理の責任者と担当者を置き、廃棄や電子保存の仕分け作業も行いました」
並行して、事務系の無線LANやノートパソコンの導入、遠隔会議システムの整備などを行い、資料の印刷・コピー、移動時間の手間やコストを削減。文書削減量は52.6%を達成しました。さらに、電子申請・決裁システムを導入し、印鑑フリーで決裁できるようにしました。
「これまでの紙の書類を回して印鑑を押す方式だと、どこがボールを持っていて、いつ決裁が下りるのかもわからなかったのですが、ワークフローが可視化されたことで決裁期間が大幅に短縮しました。一言でいうなら“スムーズ”。これに尽きます」
主にICT環境の整備を担当したのは、情報システム部課長代理の平川諭史さん。プロジェクト発足後の2018年5月に入職し、当初は、教育業界のIT環境の遅れに驚いたと言います。
「まずは、本学園にとって最適なグループウェアを選定するところから始め、より便利に使えるアプリの開発も行いました。スケジュールを共有できるとか、外からも予定が確認できるとか、導入メリットや利便性を誰もが実感できるように、段階的に進めました」

BILANC22桜美林学園ワークスタイル改革 桜美林学園
情報システム部課長代理
平川 諭史さん

ICT化による
業務改善・生産性向上を
学生サービスに還元したい

平川さんの話を受けて、「何より心を砕いたのは、いかにして職員の理解を得るかということ」と太田さんも続けます。
「総論賛成各論反対は起きましたし、部門間の温度差も感じました。ノートパソコンの導入も、プロジェクト発足後すぐに議論を始めましたが、承認されるのに1年かかりましたね。10年、20年先を見据えて、今から取り組まなければいけないんだと、何度も丁寧に説明することで理解を得ていきました」
その結果、各部門が定期的な刊行物やチラシなどの印刷物を電子化して、学内ポータルサイトで共有・閲覧できるようにするなど、自発的な動きが広まっているそうです。

~改革の行き着く先は学生サービスの向上

現在は2.0のフェーズに入り、ペーパーレス化は3年目に突入しました。業務プロセス自体を見直すために、アンケートやヒアリングによって職員一人ひとりの業務内容や時間量の実態を調査し、無駄な事務の削減、生産性の向上を目指しています。
一方、思いがけない事態により、これまでやってきたことのメリットを再認識したと言います。新型コロナウイルスの感染拡大です。
「学外からでも学内のシステムにアクセスできる環境を整備しました。それにより在宅勤務ができる環境が整い、業務が滞ることもありませんでした。コロナ対策という意味でも、十分に効果を発揮したと思います」(平川さん)
今後、力を入れていきたいと考えているのが、エンロールメント・マネジメントです。
「学生の入学前から卒業するまでの一貫した情報を収集・分析・共有し、それをある程度可視化できれば、学内の各部門が一体となって学生の成長を見守ることができます。そうすれば一人ひとりの学習進度や就職活動の手厚いフォロー、さらには学生募集にもつながっていくと考えています」(太田さん)
どんな状況下にあろうと、変化を恐れず、柔軟な対応をすることで新しい道は拓かれます。立ち返るべきは、集う一人ひとりの心を大切に見つめること。そして、この挑戦が次の100年につながっていくのです。

※ より詳細な内容については、桜美林学園の「ワークスタイル改革」のページをご参照ください。

※ 私立大学退職金財団では、教職員の皆様にスポットをあてた「未来を拓く学校人」の情報を募集しています。掲載をご希望の維持会員は、当財団までご連絡ください。

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