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聖学院大学 ボランティア活動支援センター

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Date: 2019.03.26

「ボランティア」を授業、サークル、バイトに並ぶ“学生の日常”に!

聖学院大学ボランティア活動支援センター
広く学生に門戸を開く聖学院大学ボランティア活動支援センターの受付窓口。左からアドバイザーの川田虎男さん、
コーディネーターの芦澤弘子さん、数井美由紀さん。右が学生の玉之内菖さん(手前)、山下佑太さん(奥)

構成:秋山真由美 
撮影:加々美義人 
編集:プレジデント社

~神を仰ぎ、人に仕う精神と学生の思いが合致

魚のボラの写真に「ボラに本気です」というコピーを乗せたインパクトのある広告で、ボランティアを大学の特色としてアピールしている聖学院大学。「支援を必要とする人」と「支援したい学生」を結ぶため、2012(平成24)年4月に設置されたボランティア活動支援センターでは、学生一人ひとりに合ったボランティアを紹介し、活動を通じた学生の成長を応援しています。
「ボランティアへの学生のハードルを下げるため、あらゆる手段を使っている」と話すのは、ボランティア活動支援センター(以下ボラセン)でアドバイザーを務める川田虎男さん。

BILANC18聖学院大学ボランティア活動支援センター 聖学院大学
ボランティア活動支援センター アドバイザー
川田 虎男さん

すべての学生の選択肢に
ボランティア活動がある。
そんな文化をつくりたい

「年に2~3回、お茶を飲みながら気軽にボランティアについて触れることができる“ボラTea”という場を設けたり、入学式の後、戦隊コスチュームを着た学生5人組の“サポメンジャー”が勧誘を行ったりしています。といっても、サポメンジャーは新入生に“ボランティア”というワードを印象づけて去っていくだけですが(笑)。それでも、やりたいと思ったときに思い出してもらえることが大事ですから、それでいいんです」
こうした地道な活動により、聖学院大学では約6割の学生がボランティアに興味を持ち、その4割が実際にボランティア活動に関わっています。それほどまでボランティア活動が定着している背景には、ボラセンの取り組み以前に、建学の精神の下支えがあるのだと川田さんはいいます。 「『神を仰ぎ 人に仕う』という建学の精神は、イエス・キリストの根源的な戒めである“主なるあなたの神を愛せよ”と“あなたの隣り人を愛せよ”から汲み出されたものです。ボランティア精神と親和性が高いのでしょう、ボラセンが設置されるよりも前、大学創設当時から多くの学生がボランティア活動に励んでいたそうです」

~始まりは2000年設置のボランティア部会

建学の精神と、学生の情熱。その両輪に支えられ、脈々と受け継がれてきたボランティア活動は、1995(平成7)年の阪神淡路大震災を大きな契機として転換期を迎えます。
「それまでボランティア活動への参加は学生の自主性に任されていましたが、継続性を高められるよう、大学側がサポートしようという機運が高まったのです。本学では2000(平成12)年に学生運営のボラセンであるボランティア部会を設置し、支援をスタートしました。その後、第二の契機となったのが2011(平成23)年の東日本大震災で、本学では直後に復興支援ボランティアセンターを立ち上げ、翌年にこれをリニューアルする形でボランティア活動支援センターが設置されたのです」
ボラセンの役割には大きく二つあります。一つは、ボランティアに興味を持つ学生の初めの一歩を応援すること。もう一つは、ボランティア活動をしている学生の悩みや迷いに寄り添うことです。これらを果たすため、専門職であるコーディネーターは、教職員(タテ)とも友達(ヨコ)とも違う「ナナメの関係」として学生と関わります。
「学生一人ひとりと丁寧に関わるというのが私たちの活動の基本です。特に最初の関わり方が大切で、ボランティアに関する各論をする前に、“あなたはどういう人で、どういう生き方をしたいのか”ということをじっくり聞いていきます。進路を見据えた話になることも珍しくありません」
しかし、ボランティア活動はあくまでも学生が主体ですから、職員が指示を出すことはありません。
「大前提は、学生本人が考え、自分で決めること。私たちの役割は、ボランティアの敷居を限りなく低くして、間口を広げること。そして、ボランティア活動をしている学生がより輝くため、全力でサポートすることです。活動をしていると多かれ少なかれ挫折や迷いを経験しますから、そのときにそっと寄り添ってあげられる存在でありたいと思っています。授業、サークル、アルバイトに加え、ボランティアが学生の日常にある文化をつくりたいという思いです」

~活動を通じて人間的に成長する学生たち

聖学院大学ではふだんの授業においても、ボランティア関連科目も豊富に開講しています。その背景を、川田さんはこう説明します。
「ボラセンの運営委員会には全学科の先生が関わっていて、ボランティア活動に積極的にコミットしてくれています。さらに、全学的な支援体制があり、かつ小規模大学の強みとして、センター主催の復興支援活動などは、1年生の必修科目で告知できるようになっています。どちらも『ボランティアが当たり前』の文化につながる話ですが、全学的な関わりと先生方の力添えは大きな強みであり、本学の特色なのかもしれません」
実際、授業を履修したことがきっかけでボランティア活動をするようになった学生、あるいはボランティア経験を授業で深化させる学生も多くいます。
1年生の玉之内菖さん(心理福祉学部心理福祉学科)は、「ボランティア体験の言語化技法と実践」という授業を履修したことがきっかけで、ボランティアに興味を持った一人。

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心理福祉学部心理福祉学科 1年生
玉之内 菖さん

玉之内さんは「ボランティア活動を通じて『輝いているね』と言われるようになった」と、
この1年を振り返る

「授業のレベルが高くて最初は戸惑いましたが、復興支援のプロジェクトリーダーを任されたことで、自分の考えを論理的にまとめ、相手に伝わるように話す力が身につきました。数あるボランティアの中から自分の興味ある活動に参加できるだけでなく、問題意識があれば、学生でもイチからボランティア団体を立ち上げることもできる点は、聖学院大学の魅力です。私は今、ネット依存の子どもをサポートするボランティア団体の立ち上げを準備しています。今後はファシリテーターとしての役割を果たせるよう、経験を積んでいきたいです」
(玉之内さん)
同じく1年生の山下佑太さん(同学科)は、聖学院大学でボランティアに参加したことで、人生が変わったと話してくれました。

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心理福祉学部心理福祉学科 1年生
山下 佑太さん

山下さんは「自分が経験したことを学外や母校の後輩たちに発信したい」と積極的だ

「入学後初めての夏に、復興支援ボランティアとして岩手県釜石市へ行きました。動機は『何となく』という程度でしたが、僕たちが行くたびに現地の人が喜んでくれましたし、町が変化していく様子を見られたことも嬉しかったですね。子どもを対象にしたクリスマスの工作会では、ケガをせずに楽しめる方法を試行錯誤しながら準備しました。当日、子どもたちの笑顔を見たときには、やってよかったと思いました。高校時代は目標を探すことで精一杯でしたが、ボランティアを通して自分自身も成長することができ、今は充実しています。今後は自分の経験を母校や地域の高校などで積極的に発信していきたいです」

BILANC18聖学院大学ボランティア活動支援センター
BILANC18聖学院大学ボランティア活動支援センター
「釜石原木しいたけ再生プロジェクト」の活動で森の整備をする山下さんと釜石・大槌郷土料理研究会のお母さんに料理づくりのコツを教わる玉之内さん
(提供:聖学院大学)

同学の学生は、地域の高校などでボランティア活動について講演する機会もあります。彼らの話を聞いた高校生が関心を深め、「聖学院大学でボランティアをやりたい」と入学してくる好循環も生まれています。
また、川田さんによると、ボランティア活動を熱心に行った学生は就職活動も有利に進めているそうです。
「活動を通じてコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力が身につくからです。希望する就職先はさまざまですが、ほとんどの学生が早い段階で内定を得ています」

~熱い思いさえあれば活動は続いていく

昨年、予想もしていなかった連絡がボラセンに届きました。平成30(2018)年度ボランティア功労者厚生労働大臣表彰を受賞したというのです。川田さんは「第一報を受けたときは『なぜうちが?』と思った」と言いながらも、受賞理由をこう見ています。
「今年度の取り組みだけが受賞理由ではなく、長年にわたりボランティアに取り組んできたすべての学生に対する表彰だと認識しています。私たちは今後も変わらず“本気”で活動の応援を続けていくだけ。言ってしまえば、私たちがいなくても、学生たちに“思い”さえあれば活動は続いていきます。その一方、『ボラの聖学院』と注目されることにより、徐々に期待される役割が大きくなっているのも事実です。これからも地域とのつながりを大切にしながら、県域のボランティアイベントの企画や、全国のボランティアセンターのハブの一つとして、今まで以上にさまざまな役割も担っていけたらと思います」
ボランティア活動へのハードルを下げ、「興味」「関心」のある学生に対しての受け皿をつくること、その活動を通して学生一人ひとりの人格形成を支えていくこと。地域貢献にとどまらず、社会で活躍する人材を輩出するための土壌づくりともいえるボラセンの取り組みは、学生と社会の未来を変える可能性も秘めているのではないでしょうか。

BILANC18聖学院大学ボランティア活動支援センター
平成30年度ボランティア功労者厚生労働大臣表彰の記念置時計とともに

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