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「退職資金」と「退職金」、混同していませんか?つまずきやすい退職資金交付事業の基本

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特集企画

Date: 2026.07.10

これまでのBILANC Onlineでは、財団概要として「退職給与引当金と掛金の関係」や、「財団に加入するメリット」をご紹介してきました。

はじめて財団業務を担当される方が最初につまずきやすいのが、「退職資金」と「退職金」の違い。似た言葉ですが、お金の流れも、受け取る相手も別物です。この記事では、財団業務をご担当される方がまず押さえておきたい退職資金交付事業の基本を、4つのポイントに整理してご紹介します。

この記事でわかること
・「退職資金」と「退職金」、何がどう違う?
・加入法人に退職資金が交付されるタイミングと、その流れ
・退職資金交付額はどう決まる?──計算式と具体例
・退職資金が交付されない/停止されるケースとは

実務上、特に間違えやすい「退職資金」と「退職金」の違い

実務で混同されやすいのが、「退職資金」と「退職金」です。一文字違いですが、お金の流れも受け取る相手もまったく異なるもの。具体的には、以下のような違いがあります。

~ポイント~
・退職金:学校法人(使用者)が教職員等(労働者)に支給する金銭

・退職資金:財団が加入する学校法人に交付する資金(教職員が直接受け取るものではない)

つまり、教職員が受給するのが「退職金」。「退職資金」は教職員ではなく、財団から加入法人へと交付されるもの。

私立大学退職金財団では、加入する学校法人(維持会員)から毎月掛金の納入を受け、加入法人が退職した教職員またはその遺族に「退職金」を支給した後、財団から加入法人へ「資金(退職資金)」を交付しています。

BILANC Online 「退職資金」と「退職金」、混同していませんか?つまずきやすい退職資金交付事業の基本

加入法人に退職資金が交付されるタイミング

①「学校法人が教職員に退職金を支給」→②「財団へ退職資金の交付を申請」→③「財団が学校法人へ退職資金を交付」という順序です。

一方で、「財団の制度に加入せず、学校法人が独自で退職金を積み立てて支払えばよいのでは」と感じるご担当者もいらっしゃるかもしれません。

しかし、退職者数は年によって大きく変動します。当初の見込みを上回る退職が発生したとき、学校法人単独で資金を準備するのは大きな負担です。
財団に加入していれば、予期せず多額の退職金支出が発生した場合でも退職資金の交付を受けられるため、資金面・経営面の安定につながります。

さらに、財団へ納入する掛金には国からの補助があります。掛金の2割相当額が私立大学等経常費補助金として国から加入法人へ直接交付されるため、加入法人の負担軽減が図られています。

2025年度は、財団への掛金721億円に対し、その約2割相当の142億円が補助金として交付されました。

参考:学校法人が財団に加入するメリット

退職資金交付額の考え方

「では、うちの法人にはいくら交付されるのか?」──これもご担当者の関心事ではないでしょうか。

退職資金交付額は、財団の規定で算出する「退職資金計算額」と、加入法人が退職者に実際に支払った「退職金支給額」を比較し、いずれか低いほうの額となります。


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退職資金計算額は、次の式で求めます。なお、退職金支給額の計算方法は、各加入法人で定める退職金規定によります。

 標準俸給月額 × 在職期間に応じた交付率 = 退職資金計算額

参考:退職資金交付業務方法書

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参考:標準俸給表  

 

具体例で見てみましょう。加入法人が勤続10年のAさんに、退職金100万円を支給したとします。Aさんの標準俸給月額が20万円、在職期間10年の交付率が5.658の場合、退職資金計算額は、

 標準俸給月額20万円 × 交付率5.658 = 113万円

実際に支給した退職金100万円と、退職資金計算額113万円。このうち低いほうの100万円がAさんの退職資金交付額となります。

BILANC Online「退職資金」と「退職金」、混同していませんか?つまずきやすい退職資金交付事業の基本

※2026年7月10日現在

退職資金計算額のもととなる「交付率」については次回のBILANC Onlineで詳しくご紹介します。

退職資金を受け取るために、確認すべき5つのこと

① 退職した教職員またはその遺族に退職金を支給していること
② 退職した教職員の掛金の納入期間が12か月以上であること
 →対象教職員の財団への掛金の納入期間が12か月未満の場合は、加入法人で退職金を支給していても交付されません。
③ 退職資金の交付時に掛金を滞納していないこと
 →加入法人が掛金を滞納している場合は、交付停止となります。
④ 加入法人の資格喪失が予定されていないこと
 →加入法人の資格喪失が予定されている場合は、交付停止となります。
⑤ 毎年度の加入法人に交付する退職資金の総額が退職資金交付限度額の範囲内であること
 →交付限度額を超えた場合は、交付が一時留保されます。

退職資金交付限度額の計算式

前々年度末の平均退職資金額 × 7 + 前年度の掛金相当額 -
(前々年度末までの退職資金累積額 - 前々年度末までの掛金累積額)

なお、退職資金累積額と掛金累積額の差額が一定割合の範囲となるように掛金率が調整されているため、退職資金交付限度額を超えるケースは少ないでしょう。
 

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ご担当者がまず押さえておきたい退職資金交付事業の基本を、4つの視点から整理しました。「退職資金」と「退職金」の違い、交付までの流れ、計算方法、そして交付条件。これらを頭に入れておけば、日々の業務で迷う場面はぐっと減るはずです。

財団では、加入法人からの退職資金の交付請求の都度、これらの条件に照らして退職金の支給を証する書面等を確認したうえで、加入法人に資金を交付しています。こうした手続きを通じて、私学の経営基盤の安定に貢献しています。

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