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AIに任せていい仕事、そうでない仕事:「人事・労務」を変えるAI活用最前線【第4回】

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特集企画

Date: 2026.06.12

BILANC Online “AIに任せていい仕事、そうでない仕事

(写真:Garun.Prdt/shutterstock)

構成:八色祐次 
撮影:神出 暁 
編集:プレジデント社

AIに任せていい仕事、そうでない仕事

連載第4回のテーマは、「社内業務の効率化」です。生成AIで業務を効率化しようと考えたとき、まず思い浮かぶのは勤怠管理や給与計算かもしれません。しかし、吉田洋介氏が「自前でやるべきではない」と話すのが、まさにこの領域です。では、どんな業務こそAIに任せるべきなのか。人事図書館の館長である吉田氏に伺いました。

前回の記事はこちらからご覧いただけます。
“人とAIの融合”で、採用はどう変わる? :「人事・労務」を変えるAI活用最前線【第3回】

人事図書館 館長 吉田洋介
2007年立命館大学大学院政策科学研究科卒業。新卒で、リクルートマネジメントソリューションズに入社。
国内外500社以上の採用、人材開発、組織開発、人事制度等に関わり、支社長・事業責任者等を歴任。
2021年に独立し、株式会社Trustyyleを設立。
2024年4月に東京・人形町に1,000冊以上の人事関連書籍を備えた「人事図書館」をオープン。

法改正が絡む業務は専用ツールに任せる

生成AIを活用すれば、業務を効率化できる——前回まで、そうお話ししてきました。そう聞いて真っ先に思いつくのは、「勤怠管理や給与管理を生成AIでできないか」ということではないでしょうか。職員一人ひとりの勤怠や給与の管理には多くの手間がかかるため、そう考えるのも無理はありません。

実は、生成AIを使って勤怠・給与管理を内製化するのは、あまりおすすめしません。ここは専用のツールやシステム(サービス)を使うほうが、運用が安定します。

理由は、法改正や制度変更に応じて、システムも更新し続けなければならないからです。市販のサービスであれば、法改正などにすぐに対応してくれますし、間違う可能性が低いです。金額のかかわるところをAIのみで完結させているところはまだ少ないでしょう。また、利用者も細かい変更を正確に追いかけるのは大変ですし、その都度システムを直すのも手間がかかります。お金が絡む領域だけに、間違いが起きたときのトラブルも厄介です。

また、ハルシネーション(事実と異なる回答)の問題はゼロにはなりません。AIの仕事はアウトプットする(チェックする人)の責任です。多少コストがかかっても、業務効率と正確性を考えれば、市販のサービスを利用するほうが賢明でしょう。

問い合わせ対応の負担を減らすには

一方、内製化によって効率化が図れるものとしておすすめなのが、就業規則などの学内ルール・人事制度に関する問い合わせ対応です。

人事担当者なら、現場からの問い合わせのために、自分の業務を中断せざるを得なかった経験があるのではないでしょうか。それを防ごうと、ビジュアル付きの説明資料を用意したり、FAQをつくったりと工夫している方も多いはずです。

ところが、いざ話を聞いてみると、わざわざ人事に確認しなくても、少し調べればすぐにわかるようなことだったりする。そのために集中が途切れ、業務を中断しなければならないのは、なんともやりきれないものです。
とはいえ、直接聞いてくる人にも、FAQに自分のケースが該当するのか自信が持てない、どこに書いてあるのかわからない、あるいは「詳しい人に聞いたほうが早い」と思い込んでいるなど、それなりの理由があります。

こうした不安を抱えて質問してくるので、「この場合は?」「こういうケースでも該当するのか?」と内容が込み入ることもあり、人事担当者には丁寧な対応が求められます。それに、あいまいな回答は、トラブルの種にもなりかねません。
たとえば、介護休業制度を利用できるか聞かれた際、相手の勤続年数や雇用形態、申請のタイミングを把握しないまま答えると、誤った情報や手続きを伝えてしまう恐れがあります。就業規則を変更した直後は、なおさら注意が必要です。

正確を期して就業規則を確認し直していると、その分だけ余計に時間がかかり、業務効率が落ちてしまう。この悩みを解決してくれるのが、生成AIなのです。

BILANC Online “AIに任せていい仕事、そうでない仕事
「問い合わせ対応はAIによって効率化できる」と力強く語る吉田氏

早くて正確な回答を導く、おすすめAIツール

そこで活用したいのが、「NotebookLM(ノートブックエルエム)」です。Googleが提供するAIリサーチアシスタントで、アップロードしたPDFやドキュメント、Webサイトなどを情報源として、その内容に基づいた要約・質問への応答・アイデア出しをしてくれます。

一般的なAIはインターネット上の広範な情報から回答を生成しますが、「NotebookLM」は利用者が指定(アップロード)した情報だけに絞って回答します。そのため、AI特有のハルシネーションを大幅に減らせるのが特徴です。

使い方は、至ってシンプル。まず、問い合わせがあった内容について、現行の就業規則や人事制度、各種手続きなど、FAQでフォローしきれていない部分を補強し、ドキュメント化します。想定していなかった質問への適切な回答や、就業規則に明確な記載はないけれど例外として判断した内容も、書き足していきます。

こうして準備した情報を、すべてアップロードします。YouTubeのリンクも読み込めるので、たとえば有給休暇の申請方法を解説した動画なども活用できます。
あとは、チャットで質問するだけ。アップロードした情報の中から該当するものを「NotebookLM」が選んで回答してくれます。

「文字ばかりだと読みづらい」という声があれば、スライド化や図式化も可能です。スライドに音声や図を加えた動画にすることも簡単で、新卒向けに就業規則をクイズ形式にして研修している企業もあります。とはいえ、これまで職員が培った技術が無駄になるわけではなく、できあがったスライドをいかにブラッシュアップするか、活かしていくかは人の仕事です。

BILANC Online “AIに任せていい仕事、そうでない仕事

「NotebookLM」はGoogleのサービスですが、学内でGoogleを使っていなくても、無償で利用できます。いきなり本番は難しいと思う方はプライベートのことからでもよいので、小さく試してみてはいかがでしょうか。

次回は、多くの人が一度は不満を抱いたことのある「人事評価」とAIの関係を取り上げます。なぜ評価には納得感が伴いにくいのか。その課題を、AIがどう解きほぐすのかを考えていきます。

次の記事はこちらからご覧いただけます。
人事評価の「納得感」を高めるAI活用法:「人事・労務」を変えるAI活用最前線【第5回】

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