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職場のギスギスを消し去る7つの極上フレーズ

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「学生」と「教員」という、立場も年齢も大きく異なる2者のはざまに立つことから、大学職員には高いコミュニケーション力が求められます。履修登録のように「ミスが許されない」という業務も多く、職場はギスギスしがち。しかし、職場の風通しをよくすることは、それほど難しいことではありません。そのための褒め言葉や、「関係を悪化させない叱り方」には、どのようなものがあるのでしょうか。

構成:八色祐次 撮影:石橋素幸 編集:プレジデント社

叱るときは冷静に、話を聴くときは熱心に。
こうするだけで職場の雰囲気は一変します

BILANC14「会話術」渡部先生 帝京平成大学現代ライフ学部教授
渡部 卓氏(わたなべ・たかし)
主にビジネス・コミュニケーションなどを研究。㈱ライフバランスマネジメント研究所代表として、企業、公共団体、大学などでコミュニケーション向上の研修講師も数多く務める。『明日に疲れを持ち越さない プロフェッショナルの仕事術』(クロスメディア・パブリッシング)、『折れやすい部下の叱り方』(日本経済新聞出版社)など著書多数。現在「日経Gooday/グッデイ」にてコラム連載中。

~不安を消す声かけが職場を明るくする

民間企業向けの研修やスタッフ・ディベロップメント(大学の運営管理、教育・研究支援の質向上を図るため、事務職員や技術職員などを対象に実施する、職能開発の組織的な取り組み)などを通じて、最近、職場に閉そく感があるといった声を耳にします。原因ははっきりしていませんが、私は不安や悩みが大きく影響している のではないかと考えています。
企業であっても安泰ではないという現実や、生産性や効率ばかりを求められ、どんどん希薄になっていく職場内でのコミュニケーション、思い通りにならないキャリアパス......。こういった状況は、少子化問題に直面している大学では、より深刻です。加えて業務上の悩みや緊張感もあって不安や悩みを生み出し、職場の雰囲気を重くしていると思うのです。
そのためギスギスを消し去るには、相手の不安に共感したり、安心感や連帯感を与えるコミュニケーションを取ったりすることが鍵になります。たとえば、「私も○○について心配しているんですよ」とか、「課長が一緒だと安心して頑張れます」とか。「経験や知恵を学びたい」「昔のご活躍の噂は聞いていました。今回、ご一緒できるのは光栄です」など、連帯を感じさせる声かけも、相手に安心感を与えることができます。今日から使える「極上フレーズ」を7つあげてみたので、参考にしてみてください(図表❶参照)。

BILANC14「会話術」渡部先生図表
褒めるときは具体的に。また、「for me」ではなく「for you」の精神で、「いつも見守っていますよ」ということをさりげなく伝えると、相手はあなたに興味を抱き、距離が縮まりやすくなる。

~危機感をあおるのは今の人には逆効果

実際の職場では、これとは正反対のコミュニケーションが行われていることが多い気がします。これは私自身も経験してきたことですが、少し前までは営業成績を職場に張り出して社員をあおったり、「もっと頑張れ」と焦らせたりして、やる気を引き出そうとする光景はありふれたものでした。その環境で育ってきた上司は良かれと思って、不安をあおりがちです。しかし今やそのやり方は逆効果になりかねません。相手の気持ちを遠ざけるだけでなく、会社を辞めてしまうことだってあります。
だからこそ、共感・安心・連帯を示す言葉を会話に盛り込むことが重要なのです。とはいえ、現在は出身地を聞くことすらはばかられる時代ですので、プライベート情報を得ることは容易ではありません。そこでワークライフバランスやストレスといった、話題にしやすいテーマで話しかけるのがいいでしょう。時短勤務制度を利用している人なら、「仕事と子育てのバランスがすばらしいですね」などと話を振って話題を引き出します。気持ちを切り替えるためのリフレッシュ法なども、比較的抵抗感なく話してもらえると思います。
「どう叱るか」も、管理職の人にとっては悩みのタネ。叱るという行為は本来、その人の成長を願ったものですが、やり方を間違えると不快感を与えるだけに終わってしまいます。そこで、私は叱り方のコツを「かりてきたねこ」と表現して紹介しています。

」...感情的にならない。
」...理由を話す。
」...手短に済ませる。
」...キャラクター(性格や人格)に触れない。
」...他人と比較しない。
」...根に持たない。
」...個別に伝える。

感情的に怒るのではなく、改めてほしいところを冷静に考え、叱るときはその理由を相手にきちんと伝えます。また、叱る時間は短く、叱った後の行動をしっかり見るよう心掛けましょう。叱るとき、キャラクター性を攻撃する人がいますが論外です。他の誰かと比較するのも、一人ひとりに適した管理を行うというマネジメントの本質を考えれば、「自分はマネジメント能力のない上司です」とひけらかしているようなものです。

~とっさの褒め言葉を豊富にストック

叱られる側の心境も考えてみてください。いつまでも根に持ってネチネチと責められてはたまらないでしょうし、大勢の前で怒鳴りつけられれば自尊心が傷つきます。職場をギスギスさせないためにも、上手な叱り方をマスターするのは、大切なことなのです。
職場のギスギスを解消するのに褒めることは有効ですが、褒め方にもテクニックが必要です。近年はユニークであることを良しとする風潮が強いため、職場に共通の認識というものがなく、相手に応じて響く褒め言葉を選択しなければならないからです。
そこでお勧めするのが、一般社団法人日本褒め言葉カード協会の代表理事、藤咲徳朗さんが考案した「褒め言葉あいうえお表」です。50音で始まる褒め言葉を、思いつく限り書き出そうというものです(図表❷参照)。複数人で10分間など時間制限を設けて数を競えば、褒め言葉のバリエーションを増やせます。書き出された褒め言葉には、「自分が言われたい言葉」が多く含まれているので、その人が何と褒められたいのか探るのにも役立ちます。

BILANC14「会話術」渡部先生図表
渡部卓さんと親交がある日本褒め言葉カード協会の代表理事・藤咲徳朗さんが考案した(上記は抜粋)。50音で何語思いつくか、チャレンジしてほしい。

最後に、会話のテクニックとして、「傾聴」することをお勧めします。相手の話を最後まで熱心に聴くだけでも、相手に連帯感や安心感を与える効果があるからです。相手の話を途中でむやみに遮らないことも大切。こういった小さなことを積み重ねることで、職場のギスギス感は解消されるのです。


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