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ジェネレーションギャップと「話し方ルール」の新常識

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「部下との会話がうまくいかない」とぼやくベテラン職員、「上司にどう話しかけたらいいのだろう」と悩む若手職員......。ビジネスパーソンの多くが職場でのコミュニケーション(会話術)に悩みを抱えています。世代を越えたコミュニケーションを円滑に行うには、ジェネレーションギャップについて理解するのが一番。ここでは「ギャップ」と「話し方」の関係について、詳しく見ていきます。

構成:田ノ上信 撮影:石橋素幸 編集:プレジデント社

異なる世代のことを無理に理解するのではなく、
「仲間」として接し、対話することが重要です

BILANC14「会話術」豊田先生 リクルートワークス主幹研究員
豊田 義博氏(とよだ・よしひろ)
東京大学理学部卒業後リクルートに入社。『就職ジャーナル』リクルートブック』『Works』の編集長を歴任し、現在は20代の就業実態やキャリア観、新卒採用・就活などの調査研究を行う。著書に『なぜ若手社員は「指示待ち」を選ぶのか?』(PHPビジネス新書)、『若手社員が育たない。』『就活エリートの迷走』(以上、ちくま新書)、『「上司」不要論。』(東洋経済新報社)などがある。

~世代間ギャップが埋まらない理由

職場での会話をうまく成り立たせるうえで、大前提として世代間でギャップがあることを認識しておくことが大切です。なぜなら職場での行動思考特性は、就職前後の世相に大きく左右される傾向が強いからです。
ここでは、①40代後半以上(社会人としてバブル景気を経験)、②30代~40代半ば(バブル崩壊後に就職)、③20代~30歳過ぎ(リーマンショック前後に就職した世代)の3つに分類し、特徴を見ていきましょう。
①の世代は、高度経済成長期からバブル期にかけて就職しています。将来の展望が明るかった時代で、彼らにとって会社の存在は大きく、組織のために働こうとする意識が強い。安定志向がベースにあり、ゼネラリストとして成果を上げていこうとする「安定志向×ゼネラリスト志向」のようなものが顕著にみられます。
主に就職氷河期(1993~2005年)に社会に出た②の世代は、「社会に裏切られた」というような気持ちを強く抱いています。会社のことはそれほど信頼していませんが、かといって不信感ばかりというわけではありません。むしろ「自分でしっかり考え、決めなければ」という意識が強い傾向にあります。そのため、転職を繰り返しながらキャリアアップを図る「スペシャリスト志向×キャリアアップ志向」が顕著です。組織内では①の世代と対立しがちです。
③の世代は、2000年代中ごろに登場するニートやワーキングプアといった言葉に象徴されます。会社への信頼感が弱いところは②の世代と同じですが、リスク回避志向が非常に強く、資格取得に熱心。特徴は「リスク回避×スペシャリスト志向」です。①の世代に対しては、それほど批判的ではありません。

~職場の雰囲気は上司の態度が決める

これら3つの世代には、大きな価値観の違いがあります。①は昭和的なものの考え方が根強く、上から言われたことは絶対であるという意識を持っています。性差をやたら意識し、「男性はこう、女性はこうあるべき」といった考え方を捨てきれずにいます。
一方②③は、上司が絶対だという考え方が薄く、男女平等の意識が強い。そうした意識ギャップの中で、①の世代が昭和的な価値観のまま②③の世代に指示を出しても意思疎通が図れず、仕事は思うようにはかどりません。
半面、②③の世代も自分がすべて正しいと思っているわけではありません。間違いは指摘してほしいと考えています。ただし、一方的に決めつけるかのように言われると、心を閉ざしてしまいます。
このような3世代の関係性を踏まえたうえで、どうすれば円滑な会話が成り立つのかを考えてみましょう。まず大事なことは、「上から働きかけなければ状況は変わらない」ということです。若い世代では帰属意識が薄くなっているものの、日本の会社組織は今なお上意下達のタテ社会だからです。
とはいえ、昨今の部長や課長は非常に忙しい。管理職でありながら、自身がプレーヤーでもあります。部課長が難しい顔で忙しく働いていると、部下からすれば声をかけにくく、「報連相」もためらってしまう。それで言いそびれている間に問題が大きくなり、叱責される。「報連相が大事」と言いながら、すごく話しかけにくい雰囲気を自らつくっているのです。特に20代は、「報連相も含め、社内でコミュ ニケーションを取れないのは、上司が忙しそうにしているせい」という意識を強く持っています。
逆に上司に言わせれば、今の20代は主体性や積極性を欠き、言われたことしかやらないように見えます。しかし20代の言い分には「そもそも意思表示をできる機会が少ない」という部分もあります。①②の世代から③の世代に対しては、ときとして悩み相談にも応じるなど、上下関係よりフラットな形で話しかけてみるといいで しょう。この「フラット」というのがポイント。特に③の世代は、上から目線で言われると萎縮してしまいますからね。同じ職場にいる「仲間」として接し、彼らが自然と発言できる機会をつくることです。週1回ミーティングをしたり、ランチや飲みに行ったりするなど、定期的に対話の機会を設けてもいいでしょう。

BILANC14「会話術」豊田先生図表
「新人類世代」「団塊ジュニア世代」「ゆとり世代」など、名づけられた世代はいくつもあるが、大きなジェネレーションギャップで区切ると、この図の3つの世代に分けられる。価値観の違いを埋めるのは大変なので、お互いを「仲間」と認め合うことが会話のきっかけになる。

~若い世代から上司へのアプローチも有効

一方、摩擦を起こしやすいのが①と②の世代です。特に②の世代は「こんなことを言っても否定されるだろう」と、言いたいことやアイデアを寝かせることが少なくありません。しかし、②は若さと経験を兼ね備えた絶妙な世代であるため、案外いい解を持っていたりします。だから①の世代は、②に任せてみることです。無理して歩み 寄る必要はなく、あくまでもビジネスとして、「お前たちでやってみろ」と。そのほうが結果的に、うまくいく気がします。
コミュニケーションを円滑にするには、何よりも上が動くことだと先ほど言いましたが、もちろん下からアプローチしても構いません。その方法として有効なのが、上司に積極的に話しかけること。それも上司のキャリアについて聞いてみるのです。
若い世代が上司に苦手意識を持つのは、そもそも上司のことをよく知らないからです。なぜ大学職員を志望したのか。最初に担当した仕事は何か。転職はしたのか。仕事のモチベーションは何なのか。そういう履歴のようなものも知らない。でも、聞けば共感できる側面はあるはずです。上司にとっても、「話を聞かせてほしい」と言われて、嬉しくないはずはありません。お互いを知れば関係性は改善されます。「会話の突破口を見つけよう」という思いで、上司をランチやお酒に誘ってみてはいかがでしょうか。


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