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すぐやるチームをつくる午前と午後のルーティーン

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組織の行動力が高まらないのは、時間の使い分けがうまくできていないからではないでしょうか。人の頭は時間帯によって働き方が変わるため、午前と午後で「やること」を切り替えるだけで、仕事の効率を飛躍的に向上させることができます。リーダーが率先して「すぐやる」ようになれば、組織の行動力はさらに倍増。時間をムダにしない働き方について、理想のリーダー像とともに教えてもらいました。

構成:野澤正毅 撮影:石橋素幸 編集:プレジデント社

リーダーに求められるのは、率先してやってみせる姿勢。
そして、成果を評価する最適なフィードバック

BILANC13「習慣」高橋先生 ㈱マネジメントソリューションズ代表取締役社長
高橋 信也氏(たかはし・しんや)
上智大学卒業後、アクセンチュア入社。1999年よりキャップジェミニで経営管理・業績管理のコンサルティングプロジェクトに携わり、その後SONY GlobalSolutionsでPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)リーダーとして活躍。2005年、㈱マネジメントソリューションズを設立。組織的プロジェクトマネジメントを志向したPMOの実践・普及に努める。著書『コンサルタントになれる人、なれない人』。

~「朝からフル稼働」がリーダーの鉄則

日本人は「もったいない精神」が旺盛なはずなのに、時間については無駄使いしている人が目立ちます。2005(平成17)年に㈱マネジメントソリューションズを立ち上げてから、私は300以上のプロジェクトマネジメントをサポートしてきました。数多くの組織を見てきたわけですが、企業といわず、団体といわず、総じてチームの時間管理ができていません。そこで、ここでは主にミドルリーダー(中堅教職員)を対象に、業務を効率化して実行力の高いチームに変身させる秘訣をご紹介しましょう。
チームマネジメントでは、仕事を「すぐやる」ことが肝心。それを率先垂範するのがリーダーの役割です。一般的な会議は挨拶に始まり、世間話に花を咲かせたりして、エンジンがかかるまで時間がかかります。しかし私が議長なら、すぐに本題に入ります。チームを思い通りの方向に引っ張るには、リーダー自らが実践して「場の空気」を支配しなくてはならないと思っているからです。
これは日々の業務も同じこと。たとえば、午前中はダラダラと仕事をしているチームを、朝からフル稼働するチームに変えたいとしましょう。その場合、リーダーが率先して始業時刻からフル稼働する姿勢を示し、「すぐやる」空気にチーム全体を染めてしまうのです。朝礼を開いて「今日はこれに取り組もう」と目標を定めるのも手。リーダーは場の空気を読んだり、メンバーの気持ちを配慮したりする必要はありません。自分の信念やビジョンを周知させればいいのです。
そのうえで、午前と午後でやるべきことを決めてしまいましょう。午前中は頭が冴えているので、企画立案のための会議や複雑な判断がいる仕事に優先的に取り組みます。一方、昼食後は頭の働きが一旦落ち着くので、情報収集のための会議や定型的な事務処理にあてます。このように午前はアウトプット、午後はインプットに取り組めば、業務効率が改善します(図❶参照)。

BILANC13「習慣」高橋先生図表

~効果的な振り返りがやる気を引き出す

時間当たりの生産性を上げるには、スケジュールの「リストラ」も有効です。ターゲットにしやすいのは会議。「とりあえず会議」は避けるべきです。多くの学校や企業では会議が長く、コミュニケーションコストをかけすぎています。そこでまず、会議を①意思決定のための会議、②情報収集のための会議、③それ以外の会議に仕分けします。そして、①以外を見直します。たとえば②は、メールでの連絡に切り替えることで時間を大幅に省けます。リーダーが会議にかけていた時間が3分の2程度に減ったケースもあります。
ただし、リーダーがかけ声をかけたり、尻を叩いたりしても、チーム全員がやる気を出さなければ、仕事は進みません。そこで「振り返り」が役立ちます。振り返りは定性・定量の2つの側面で行います。定性的な指標が、プロジェクトに対する「自己評価」や「達成感」。定量的な指標がKPI(キー・パフォーマンス・インディケーター)です。KPIの例が「残業は○時間以内に」などというもので、これが定まったら達成を阻害している原因とともに、対応策を洗い出します。これらKPI達成のためのタスクをKSF(キー・サクセス・ファクター)といいます。実際の業務では、KPIに紐づけてKSFを図式化することで、必要な業務プロセスを可視化するといいでしょう(図❷参照)。
振り返りをするときに大事なのは、失敗を責めないこと。失敗の数々が人を強くし、成功に導くというのは、もう有名な話でしょう。失敗は教訓としてフィードバックし、次の仕事に生かせばいいのです。チャレンジを習慣化するべきです。また、小さな仕事を任せて成功体験を重ねさせることも、自信をつけられるので、やる気を高めるコツです。

BILANC13「習慣」高橋先生図表
定量的な指標(KPI)を設け、それを達成するための対応策(KSF)を、
達成を阻む原因とともに書き出す。

~異業種交流や読書なども仕事の一部

ところで、チームマネジメントでリーダーシップを発揮するために、リーダー自身は何をなすべきなのでしょうか。私は、メンバーの心をつかんで動かすには、見識を高めたり、度量を広げたりして「人間力」に磨きをかけることが重要だと考えています。
人間力を高める手っ取り早い方法は、外部の人と積極的に交流すること。大学の教職員であれば、ビジネスパーソンなど異業種の人と接するほうが、見聞が広がり、刺激を受けられます。学生時代の友人に会ったり、趣味のサークルに参加したりして、人脈を開拓するといいでしょう。
読書もおすすめです。マネジメント関係もいいのですが、哲学など教養系の本にチャレンジしたほうが、新しい発見が多いでしょう。業務の効率化で残業時間が減ったら、リーダーはぜひ、そうした自分磨きにアフターファイブを活用してください。


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